仙寿菜(せんじゅさい)
 いまから10年程前、岐阜大学応用生物科学部の大場伸哉教授(遺伝育種学)が調査のためバングラデシュに行ったときに、マーケットで色鮮やかな赤色の野菜を見つけ、その種子を日本に持ち帰って研究を始めたのがはじまり。それは、ヒユ科の植物、アマランサス。当時の日本でのアマランサスの認知は種子を食用とする穀物であり、葉や茎を食べる野菜としての利用は、あまり知られていませんでした。大場教授は、アマランサスは熱帯・亜熱帯を起源とするため日本で露地栽培するなら夏場が適していることなどを明らかにするとともに、緑や黄色、オレンジ色といった色とりどりの品種がある中で、特に赤色の品種に注目して、さらに赤色が増すような改良を進めました。 赤色の正体は『ベタシアニン』。高い抗酸化活性を有し、老化防止に有効とされる成分です。またその後の研究の結果、ビタミンやミネラルも豊富に含まれることも分かり、健康野菜としての可能性が見出されました。

仙寿菜の驚異の健康パワー

注)成分は季節によって多少異なります
 
 『仙寿菜』とは、野菜用の赤色アマランサスに対して2006年1月に岐阜大学が登録した商標名で、いわゆる、「岐阜大ブランド野菜」です。仙寿菜の特徴的なことは、高栄養価であることに加え、生産普及から流通・販売までを大学の研究者らがしっかりとサポートしている点にあります。育種について大場教授が研究開発を担当するのみならず、栽培については嶋津光鑑准教授(施設栽培学)が地域の農家と一緒になって考え、より高品質な仙寿菜を提供できるように日々研究しています。

岐阜大学の育種圃場の仙寿菜
 
 さらに、流通・販売については、中野浩平准教授(食品流通科学)が陣頭指揮を執り、鮮度管理や販路開拓、加工品開発、に関する指導を行い、広く新鮮な仙寿菜をお届けできるようサポートしています。また、九州大学大学院農学研究院の岡安崇史准教授(農業情報学)も加わり、生産工程管理や畑の環境情報(気温や土壌水分量など)の収集をIT化し、生産工程の消費者への開示(=『見える化』)や環境条件と品質についてのデータベース化を図りながら,安全・安心で且つ高品質な仙寿菜を生産できる体制を確立しています。このような教員ネットワークの中で育まれた仙寿菜こそ大学ブランド商品と言えましょう。


地域生産者との栽培管理(左),鮮度保持条件を考慮したパッケージ開発(中央),携帯電話を活用した生産工程管理(右)